「検察『堤氏になるか堀江被告になるか』」村上ファンド事件証人・滝沢 建也氏への弁護側反対尋問
取調べ
- 平成 18 (2006) 年 5 月 30 日の取調べで、堤 義明氏(コクド前会長)と堀江 貴文被告(ライブドア前社長)の名前が挙がった
- 吉開 多一検事が、「特捜部に来て 3 年間、色々な経済事件を担当した。経済事件は過失の面もあり、綺麗に認めることが大切。村上 世彰被告(M & A コンサルティング前代表)は、堤氏になりたいのか堀江被告になりたいのか、賢明なご判断をされると思いますよ」と言った
- 堤氏は 1 人で綺麗に認めたが、堀江被告は認めず幹部にまで逮捕が及んだ
- 検察の主張を認めれば村上被告だけが逮捕され、そうでなければ他にも逮捕者が出る、と解釈した
- その日のうちに、M & A コンサルティングの幹部や弁護士に伝えた
- 5 月 31 日に、村上被告がシンガポールから帰国した
- 6 月 3 日夜に M & A コンサルティング の会議室で、村上被告以外の幹部と弁護士が協議した
- 幹部は、丸木 強氏(M & A コンサルティング代表取締役)・証人・石井 賢史氏(M & A コンサルティング取締役)・中島 章智弁護士(MAC アセットマネジメント取締役)・鈴木 俊英氏(M & A コンサルティング社員)
- 岡田 裕久氏(MAC アセットマネジメント代表取締役)も、取調べを終えて深夜 0 時すぎから参加
- 弁護士は、則定 衛弁護士・川原 史郎弁護士・奥田 洋一弁護士・大木弁護士
- 則定弁護士「特捜部は、村上被告・丸木氏・滝沢氏・岡田氏の 4 人を週明けに逮捕するだろう」
- 真実を話せば嫌疑は晴れると思っていたのでがっかりする一方、「4 人も逮捕されたら、接見が大変だ」と奇妙な明るさもあった
- 岡田氏「これでいいんでしょうか。村上ファンドは機能停止して、崩壊します」
石井氏「もう 1 度、みんなで考え直そう」
証人「村上被告の部屋で会議をしよう」
- 丸木氏「筋を通すべきだ。志が不本意のまま終わるのは耐えられない」
証人「投資家に対する責任を考えると、岡田氏や石井氏が正しい」
- 丸木氏だけが、主戦論を唱えた
- 各銘柄の取得率が高いので、トレーダーだけが残っても駄目
- 阪神電気鉄道も予断を許さず、出口戦略を早急に決める必要があった
- 弁護士に、「検察の主張を認めなければ、逮捕者は増える傾向がある」と言われていた
- 「平成 16 (2004) 11 月 8 日に、ライブドアが 5 % 以上購入することを聞いた」と嘘の自白をすれば、村上被告 1 人の逮捕で済む
- 後で引っ繰り返すつもりはなかった
- 傍聴者注:傍聴席の M & A コンサルティングの女性社員 3 人が泣く
- 2 時頃、「不本意だが認めて、村上ファンドの崩壊は避ける」と弁護士に伝えた
- 弁護士は驚いて、「後で引っ繰り返すのは難しいですが、経営判断として尊重します」と言った
- 証人が、ホテルに滞在中の村上被告を電話で起こした
- 村上被告「本当か。1 人 1 人の意見を聞きたい」
丸木氏「何も悪いことをしていないのに認めるのは主義に反するが、村上ファンドの 7 年間が無駄になる」
- 村上被告「家族が納得しない」
中島弁護士「『仲間を救う』と言えば、分かってくれる」
村上被告「戦う意見の者はいないのか」
- 誰も答えなかった
- 傍聴者注:村上被告がハンカチで涙を拭う
- 村上被告「俺を守る者はいないのか。分かった」
- ホテルに行って直接話をしよう、という意見もあったが、3 時頃だったので翌朝にすることになった
- 平成 18 (2006) 6 月 4 日 8 時に、村上被告が宿泊するホテルへ行った
- 前日の幹部・池田氏(M & A コンサルティング総務部長)・川原弁護士・奥田弁護士
- 村上被告が、「一晩考えた。みんなの言うことももっともだ。不本意だが認めよう」と言った
- 「丸木氏と滝沢氏は逮捕されても仕方ないが、岡田氏は守ってやりたい」と冗談も言っていた
- みんな泣いていた
- 村上被告は決断すると早いので、翌日の逮捕前に記者会見を設定することにした
- 各紙朝刊に、「村上ファンド幹部 4 人、週明け逮捕」とあった
- 自白するなら今日しかないので、弁護士を通して取調べを依頼した
- 6 月 4 日の取調べで、村上被告・丸木氏・証人が初めて自白した
- 証人の取調べは、14 時半か 15 時頃から 20 時か 20 時半頃まで、別のホテルの一室で行われた
- 「弁護士から聞いたでしょうが、堤氏を選ぶことにしました」と言うと、吉開検事は「賢明な判断をされたと思いますよ」と答えた
- 吉開検事は、「ずっと土日も休めず、今日は 1 ヵ月ぶりの休みで家族サービスするつもりだったが、呼出しを受けた」とも話していた
- 吉開検事の言うことに「ハイハイ」と答えて、以下の内容の供述調書を作成した
- 平成 16 (2004) 年 11 月 8 日までに、村上被告から「ライブドアがニッポン放送株の 30 数 % を取得する」と聞いた
- 11 月 8 日に、ライブドアが本気でニッポン放送株の 30 数 % を取得すると分かった
- 宮内 亮治被告(ライブドア元取締役)は「資金調達を頑張ります」と言い、村上被告も「銀行を紹介する」と述べた
- その後、村上ファンドは 1 を考慮してニッポン放送株を購入した
- ライブドアは、有効なカードの 1 枚だった
- 1 〜 4 は、記憶になかったが肯定した
- 5 は、吉開検事に「仮にあれば役立つことをどう表現する?」と聞かれ、「カードの 1 枚ですかね」と答えた
取調べ以前
- 平成 18 (2006) 年 1 月中旬に、村上ファンドが捜査対象になっていることを感じた
- ライブドアの強制捜査後に、「次は村上ファンド」と報じられた
- ライブドア絡みで問題があるとすれば、トストネットを通じた取引が TOB 規制違反になるのかな、と思った
- 高等裁判所の判決も出ていたから、違うだろう
- 中島弁護士に尋ねても、「およそなかろう」との返答だった
- インサイダー取引は、全く考えなかった
- 1 月の取締役会でも、話題になった
- オリックスの木村 司氏(M & A コンサルティング前社外取締役)を含め、何が問題なのか話した
- TOB 規制違反しか考えられなかった
- 5 月 16 日に、吉開検事から最初の電話を受けた
- 丸木氏・福田氏(M & A コンサルティング社員)と共に、最初に呼出されたグループの 1 人
- 「ニッポン放送株の証券取引法違反」と言われ、TOB 規制違反と思った
- 中島弁護士は、「平成 17 (2005) 年 1 月 17 日にフジテレビがニッポン放送の TOB を発表した後、ブロックでニッポン放送株を購入したことが疑われているのではないか」と話していた
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