「主観的な印象でライブドアには夢物語と判断」村上ファンド事件証人・滝沢 建也氏への検察側主尋問

「主観的な印象でライブドアには夢物語と判断」村上ファンド事件証人・滝沢 建也氏への検察側主尋問

ライブドアとの打合せ

  • 平成 16 (2004) 年 11 月 8 日に、ライブドアと打合せを行った
    • 終了間際に、宮内 亮治被告(ライブドア元取締役)が「よろしくお願いします!」と大きな声で言った
      • 立上がり、両腕を肩幅の倍くらいに開き、両手をテーブルに付いて、頭を 80 度くらい下げた
      • 何に対して「よろしく」なのか分からなかった
      • 「ニッポン放送株を村上ファンドとライブドアで過半数取得」とは、受止めなかった

ニッポン放送株の出口戦略

  • 11 月上旬に、「平成 16 (2004) 年 11 月 00 日 ニッポン放送への対処方針について」という外部向けの資料を作成した
    • 「株式保有率 13.54 %」とあり、11 月 4 日時点で 444 万 1620 株 (13.54 %) だったので、その頃に作成
      • 6 月 23 日の取締役会の議事録は M & A コンサルティングでは保管しておらず、オリックスの木村 司氏(M & A コンサルティング前社外取締役)から入手したもので、「385 万株 (11.8 %)」と書込みがある
      • 11 月 8 日時点では約 449 万株 (13.7 %)
    • 「N 社について」で「580 万株 (17.71 %) 」とあるのは、3 月末の議決権ベース
      • ライブドアとの打合せでは、13.54 % ではなく 17.71 % と伝えた
      • コンテンツ・サービス会社フェイスとライブドアとリップルウッドに対しても同様
    • ニッポン放送の取締役候補者が挙げられている
    • オリックスにも説明したかもしれない
    • 「株主提案した場合のスケジュール」の項目に、「ストラテジック・バイヤーが、平成 17 (2005) 年 1 月から 3 月 25 日の権利落ち日までに購入する」とある
      • この場合の「ストラテジック・バイヤー」は、証人の造語の「ストラテジック・パティシパント(プロキシー・ファイトの援軍)」に相当
      • リップルウッドは秋に降りていたので、フェイスとライブドアと USEN を想定
    • 「経営権取得後の方策」の項目に、「フジテレビまたはストラテジック・バイヤーへ売却」とある
      • この場合の「ストラテジック・バイヤー」は特に想定していないが、フェイスやライブドアではない
    • 「経営権取得後の方策」の項目に、「フジテレビの TOB を行う投資家」とある
      • 楽天のこと
      • 楽天には 1 度断られていたが、「経営権取得後」であれば別

楽天とライブドア

  • 「ニッポン放送の TOB を考えている」と言ったのはライブドアだけだが、夢物語だった
    • ライブドアは、楽天に比べて財務規模が小さかった
      • (「ライブドアの平成 16 (2004) 年 9 月期の現預金は連結で約 455 億円/単体で約 308 億円。楽天の 12 月期の現預金は連結で約 435 億円/単体で約 265 億円、短期借入が連結で約 500 億円/単体で約 200 億円」との検察側に対し)不明を恥じる
    • 4 月に、ライブドアが約 360 億円の公募増資を行ったことは知っている
    • 11 月 9 日にライブドアが弥生を 220 億円で買収したときは、無理している、と感じた
      • (「弥生のキャッシュアウトは 30 億円」との検察側に対し)知らなかった
    • (「11 月 10 日前後のライブドアの時価総額は 2800 億円前後なので、15 % 程度のエクイティ(株式)による資金調達は可能ではないか?」との検察側に対し)時価総額 2000 億円以上とは思っていたが、敵対的だからエクイティ(株式)による資金調達は考えなかった
    • 客観的な財務能力ではなく主観的な印象で、ライブドアには夢物語と思っていた
    • ニッポン放送やフジテレビが、堀江 貴文被告(ライブドア前社長)を受入れるとも思えなかった
    • 当時、敵対的買収の前例はなかった

外国人株主

  • サウスイースタン・アセット・マネージメントやピーター・キャンディル・アンド・アソシエイツが、平成 17 (2005) 年 3 月の株主名簿基準日までニッポン放送株を手放さない保証はなかった
    • サウスイースタン・アセット・マネージメントやピーター・キャンディル・アンド・アソシエイツは信頼できるが、合意は得ていなかった
    • 他の外国人株主とも、合意していない
    • 平成 16 (2004) 年 11 月 17 日に、ピーター・キャンディル・アンド・アソシエイツから約 20 万株を購入した
      • 平成 17 (2005) 年 1 月 5 日にも、約 80 万株
  • 平成 16 (2004) 年 11 月 11 日と 12 日に、他の外国人株主からもそれぞれ 18650 株と 74400 株を購入した
  • 年金信託口からも 1, 2 回購入したが、丸木 強氏(M & A コンサルティング代表取締役)の担当なので分からない
  • トストネットを通じてブロックで購入した分には、外国人株主や年金信託口からのものもある

プロキシー・ファイト

  • 平成 14 (2002) 年に、婦人服会社東京スタイルにプロキシー・ファイトを行った
    • 配当増加などを要求して、経営権掌握が目的ではなかった
    • 外国人株主の賛同を得られず、負けに終わった
  • 平成 16 (2004) 年 11 月頃、ニッポン放送にプロキシー・ファイトを行うことも考慮に入れていた
    • 配当増加ではなく、取締役選任が目的
    • 外国人株主の賛同を得られる見通しがあった
      • サウスイースタン・アセット・マネージメントやピーター・キャンディル・アンド・アソシエイツには取締役候補を説明したが、他の外国人株主にはしていない
    • 取締役選任後は、フジテレビにニッポン放送株を引取らせるつもりだった
      • フジテレビが拒否した場合については考えていなかったが、その可能性はほとんどなかった
    • 12 月に、鹿内 宏明氏(フジサンケイグループ元議長)から「票読みに入れるな」と電話があった

ライブドア

  • 11 月 8 日の打合せ以降、村上 世彰被告(M & A コンサルティング前代表)とライブドアの位置付けについて話した記憶はない
    • ライブドアを活用できる場面があるとは思わなかった
      • 供述調書と異なることは知っている
    • ライブドアから資金調達状況も聞いていない
    • 村上被告は、以下を考えていた
      1. フジテレビによる TOB
      2. プロキシー・ファイト
    • 1 がメインシナリオ
      • 9 月にフジテレビがニッポン放送株を購入したので、TOB を期待していた
      • 「ライブドアが対抗 TOB を行う」ことは、想定していなかった

ニッポン放送株の出口戦略

  • 平成 17 (2005) 年 1 月 4 日頃、「ニッポン放送についての論点整理」を作成した
    • 1 月 3 日の夕方に、村上被告と話した内容をまとめた
    • 「6 月末のニッポン放送の経営権取得を目指す」とある
      • 鹿内氏は、反対しないまでも棄権する可能性があった
      • ピーター・キャンディル・アンド・アソシエイツがニッポン放送株を村上ファンドに売却したように、外国人株主は移り気
    • 「現状では 18.8 %」とある
      • 年末に話があり、1 月 5 日にピーター・キャンディル・アンド・アソシエイツから購入した約 80 万株が入っている
    • 「今後、どこまで買い進むか」「L 社はどこまで購入するか」とある
      • 「L 社」はライブドアを指し、村上被告に入れるように言われた
    • 「フジテレビに第三者割当」とある
      • 村上ファンドへの対抗策として、ニッポン放送がフジテレビに新株を発行して、議決権を希薄化するかもしれない
      • (「ライブドアの大量取得への対抗策ではないか?」との検察側に対し)荒唐無稽
    • 「ニッポン放送は 1000 億円程度の借入可能と考えてよいか」とある
      • フジテレビ株などの資産が担保
      • 現実的な選択肢の 1 つ
  • 1 月 5 日に、ピーター・キャンディル・アンド・アソシエイツから約 80 万株を購入した
    • カナダの会社だが、ロンドンに住んでいる
    • 鹿内家がニッポン放送株を大和証券 SMBC に売却したことを噂で聞いたのだろう
      • 公表は 1 月 6 日か 7 日
    • フジテレビによるニッポン放送の完全子会社化の可能性が、高くなったとも低くなったとも考えられた

ライブドアとの打合せ

  • 1 月 6 日に、ライブドアと打合せを行った
    • 村上ファンド側の出席者は、村上被告・丸木氏・証人・トリイ ジュンコ(表記不明)氏(M & A コンサルティング元社員)
      • 村上被告・丸木氏・証人が揃うからと言って、重要とは限らない
    • 堀江被告が「TOB したいんですけど」と話すと、村上被告は「TOB なんて軽々しく言うな」と遮った
      • 丸木氏もたしなめた
      • TOB が重要事実だからだろう
      • その後は、堀江被告も触れなかった
    • 村上被告は、大量保有報告書を見せながら「こんなに購入できたから、市場で購入しろ」と言った
      • 村上被告は命令口調だったが、堀江被告は自然に受止めていた
    • 村上被告は、サンケイビルを欲しがった
  • 1 月 7 日にトリイ氏に聞かれて、村上被告が「TOB なんて軽々しく言うな」と述べた理由を一般論として説明した

ニッポン放送株の出口戦略

  • 1 月 17 日に、フジテレビが「5950 円でニッポン放送を TOB する」と発表した
    • 村上ファンドは、歓迎する内容のプレスリリースをインターネットに掲載した
    • 村上被告と証人の判断により、30 分か 1 時間で掲載を中止した
      1. フジテレビが、大和証券 SMBC から MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)で資金調達していた
      2. 村上被告が、「5950 円よりも高くなれば出来高が増えるかもしれないから、止めておこう」と言った
    • 2 は、具体的に「ライブドア」と聞いた気もする
    • ニッポン放送株をライブドアに売却する選択肢を証人は考えていなかった
      • 1 月下旬になってから、村上被告に聞いた
  • 1 月末から、堀江被告とは連日会って協議していた
  • 2 月 2 日に、ライブドアと打合せを行った
    • 村上被告が、「うちと一緒にやってきたことは、伏せておいてくれ」と言った
      • インサイダー取引を隠すのではなく、格好悪いから
      • 村上被告と堀江被告の仲が良いことは、報じられていた
    • 村上被告はパソコンが苦手なので、証人がマスコミの想定質問を作成して、ライブドアへ渡した
  • 2 月 8 日に、村上ファンドのニッポン放送株の半分をトストネットを通じてライブドアに売却した
    • 2 月 7 日時点では 634 万 8950 株 (19.36 %)
    • 1 月末に、村上被告が半分売却を決めた
      • 1 月 28 日の取締役会の前後
      • 宮内被告に「残りの半分を売却しない契約をしてくれ」と言われたが、村上被告は断った