「村上被告『担当者をたぶらかせ』」村上ファンド事件証人・トリイ ジュンコ氏への検察側主尋問

「村上被告『担当者をたぶらかせ』」村上ファンド事件証人・トリイ ジュンコ氏への検察側主尋問

証人の経歴

  • 平成 16 (2004) 年 4 月に、M & A コンサルティングに入社して、アナリストとなった
    • 日興シティグループ証券に勤務していた頃の知人に紹介された
    • 日興シティグループ証券に比べ、仕事にスピード感があるなどやり甲斐があり、人間関係も良かったので、気に入っていた
    • 丸木 強氏(M & A コンサルティング代表取締役)は当時副社長であり、直属の上司ではなかった
  • 平成 17 (2005) 年 3 月に、正社員から契約社員となった
    • 正社員のときの年収は 700 〜 800 万円で、契約社員のときは半分程度
    • 結婚式には、村上ファンドの関係者も招待した
      • 村上 世彰被告(M & A コンサルティング前代表)も出席した
  • 平成 18 (2006) 年 6 月に、村上被告が逮捕されて退職した
  • 現在ベトナム在住で、証人尋問のために帰国した

ライブドアとの連絡

  • 平成 16 (2004) 年 9 月 15 日に、村上被告の指示で塩野 誠氏(ライブドア証券取締役副社長)に連絡した
    • 塩野氏は、大学時代の友人
  • 9 月 17 日に、塩野氏と昼食を摂った
    • 塩野氏は、「ニッポン放送からフジテレビに辿り着きたい」「フジテレビ取りたいね」と言っていた
      • 担当者としての塩野氏の気持ちであり、ライブドアとしての意向だろう
    • 塩野氏は、「資金がない」とも言っていた
  • 10 月 20 日に、塩野氏から証人へメールが送信された
    • 「買収資金の借入れが可能になったので、打合せを行いたい」とある
      • 9 月 17 日に「資金がない」と言っていたので、驚いた
      • ニッポン放送株の取得率については、意識しなかった
      • (「『買収資金』とあるのだから、それなりの取得率なのではないか?」との検察側に対し)塩野氏は普段から話が大袈裟なので、5 % 以下でも「買収」と言うことはあり得る
      • 塩野氏に買収の気持ちはあったが、年内は「ライブドアがニッポン放送を取るのは無理だよね」と言っていた
    • 「弊社では、最優先事項です」「堀江 貴文被告(ライブドア前社長)から急かされています」とある
      • ライブドアがニッポン放送の経営権を掌握するための具体的な方法は、聞いていない
    • 数日前にも、塩野氏に打合せを持ち掛けられていた
      • メールか電話か分からないが、当時のメールは消去したので残っていない
      • ライブドア側の出席者は、宮内 亮治被告(ライブドア元取締役)と塩野氏
      • (「塩野氏は、『言っていない』と述べた」との検察側に対し)村上被告に報告したら、「俺が出るのに、堀江被告が出ないとは何事か」と怒られたのを覚えている
  • 「堀江被告は、出て下さるの?」と返信すると、「格合せね」と返事が来た
  • 「ライブドアが打合せをしたがっている」と村上被告に伝えた
    • 「買収資金の借入れが可能になったらしい」と話したか分からない
      • そう言っていれば、金額や時期を問い質されるはずだが、記憶にない
    • 村上被告は、「堀江被告に電話してみる」と答えた
  • 11 月 4 日に、塩野氏と打合せを行った
    • アナリストとして、ライブドアがニッポン放送株を購入する相手と方法を助言した
    • 塩野氏から、融資金額などの具体的な話はなかった
      • 時期は分からないが、「200 億円なら何とかなる」と聞いたことがある
      • ライブドアの現預金 300 億円のうち運転資金が 100 億円で、余裕資金が 200 億円だろう、と思っていた
    • 「フジテレビと CNBC」という標題で、打合せ内容をノートにメモした
      1. 「鹿内から取りにくい。ウジウジしている」
      2. 「外国人株主からブロックで取りにくい。取れても 10 〜 20 万株」
      3. 「TOB したら、うちが売る」「話を聞かない方がいい」
      4. 「スパンと一気にやった方がいい」
      5. 「(1) TOB は無理」「(2) 30 % →うち→ 50 %」
      • 1 は、村上被告から聞いたことを伝えた
      • 2 は、記憶がはっきりしないが、村上被告か滝沢 建也氏(M & A コンサルティング副社長)に聞いたのだろう
      • 3 は、ライブドアが TOB で 1/3 や過半数を取得する話もあったが、取締役会で決定したら聞かないように、インサイダー取引には注意していた
      • 4 は、フジテレビに防衛策を講じさせない
      • 5 の (1) は、ライブドアに資金がないので、フジテレビがカウンター TOB をしたら負ける
      • 5 の (2) は、ライブドアが 30 % を取得すれば、村上ファンドの 20 % と合わせて 50 %
    • ノートにはないが、「村上ファンドがニッポン放送株を他に売却しない契約をしてほしい」と言われた
      • もっともだった
      • 利益を優先する村上ファンドが自由を奪われる契約を結ぶことはあり得ない、と思ったが、「打合せで直接話してくれ」と答えた
  • 11 月 8 日に、ライブドアと打合せを行った
    • 記憶が断片的にしかない
    • 村上被告が堀江被告に、ニッポン放送の魅力を伝えた
      • ニッポン放送が持つフジテレビ株やポニーキャニオン株やサンケイビルなど
    • 村上被告は、「外国人株主を紹介できる」とも言った
      • 滝沢氏が、資料を用いて説明した
        • 直近の 9 月末の資料だろう
      • ライブドア側の反応は、覚えていない
    • 村上被告は、「お前のところは、どのくらい利益を出しているんだ?」と聞いた
    • 堀江被告は、「フジテレビ取れますかね?」と初歩的な質問をした
    • 宮内被告か塩野氏が、契約の話をした
      • 村上被告が「俺を信じろ」と言ったか分からない
      • (「1/3 を取得するから、契約の話をしたのではないか?」との検察側に対し)よく覚えていない
    • ライブドアから提案か報告があるのだろう、と思っていたが、提示されなかった
      • 塩野氏のメールにあった買収資金の話が出ず、この打合せは何だったのだろう、と思った
      • 終了後、村上被告も「意味がなかったな」と言っていた
      • (「ライブドア側の出席者は、『買収資金の話もした』と証言した」との検察側に対し)嘘をついているのだろう
  • 11 月 8 日の打合せが終了した時点で、証人は役割を終えた
    • 9 月 15 日に、村上被告から「お勉強していればいい」と言われた
      • アナリストとして、ニッポン放送のレポートを書いていたので、魅力を伝えるのが役割、と思った
      • 村上被告は、「塩野氏をたぶらかせ」とも言った
      • 11 月 4 日の打合せで、塩野氏には意気込みがあったので、役割は果たした
    • 村上ファンド側は、ライブドアがニッポン放送株の過半数を取得する、とは思わなかった
      • ライブドアが買収したがっている気持ちは伝わったが、無理だろう、と証人は感じていた
  • 平成 17 (2005) 年 1 月 6 日に、ライブドアと打合せを行った
    • 村上被告が、「市場でニッポン放送株をこれだけ購入した」と説明した
    • TOB の話も出たかもしれないが、覚えていない
    • 他の記憶は、全くない
  • 1 月 7 日に、塩野氏へ「昨日の件」という件名でメールを送信した
    • 「『TOB する』と聞いてはいけない」とある
      • 塩野氏から、インサイダー取引について問合せがあった

取調べと証人尋問

  • 平成 18 (2006) 年 6 月に、取調べを受けた
    • 弁護士に相談すると、「正直に話せ」と言われた
    • 取調べの内容は、滝沢氏に報告した
  • 検察側の証人テストは拒否した
    • 取調べに十分な時間を割いた
    • 協力する気がない訳ではないが、記憶が塗り変わらないように
  • 村上被告の弁護側のヒアリングは受けた
    • 村上被告の弁護側と会っても、記憶は塗り変わらない
    • 電話で 4, 5 回
    • 会って 2, 3 回
      • 1 週間以内に合計 4 〜 5 時間
      • 森田弁護士がベトナムまで来たこともある
  • 最近、村上ファンドの関係者には会っていない
    • 傍聴席にいる同僚は、三浦 恵美氏(M & A コンサルティング社員)のみ
  • 村上被告の主張は、報道で知っている
    • 個人的には、平成 16 (2004) 年 11 月 8 日時点ではインサイダー取引に抵触しない、と思う