「村上被告『金の匂いがプンプンする』」村上ファンド事件証人・岡島 サトシ氏への検察側主尋問
証人の経歴
- 複数の証券会社勤務を経た後、平成 14 (2002) 年 3 月に M & A コンサルティングに入社して、株式の発注トレーダーとなった
- 平成 18 (2006) 年 8 月末に退職してからは無職
ニッポン放送株の購入
- 平成 16 (2004) 年当時、ニッポン放送株は流動性が低かった
- 9 月末に、村上ファンドはニッポン放送株を約 390 万株(約 200 億円分)保有していた
- MAC ジャパンとメロンのファンドの合計時価総額が約 1000 億円だったので、約 20 % がニッポン放送株
- 村上ファンドが力を入れている銘柄であることは、認識していた
- 全てを市場で売却するのは難しいが、村上 世彰被告(M & A コンサルティング前代表)たちがアクティビスト活動を通じて、何とか出口を見付けるだろう、と考えていた
- (「供述調書に、『何らかのイベントがないと売れず、塩漬けと言ってもいい』とある」との検察側に対し)そこまで言ったのは迂闊だった
- トレーダーとしては流動性が高い銘柄を売買する方がやりやすい、という意味
- 10 月以降も、ニッポン放送株を大量に購入した
- 10 月 12 日以降、村上被告が「ニッポン放送株をどんどん買おう」「買えるだけ買え」と言った
- 10 月上旬に証人はイタリアへ旅行しており、帰国後初出社が 10 月 12 日
- 旅行前と異なりきっぱりとした指示だったので、ちょっと違うな、と感じた
- 日頃から村上被告は「金の匂いがプンプンする」と言うことがよくあったので、このときも何かを嗅ぎ付けたのだろう、と推測した
- 3 月から 9 月までは、村上ファンドのニッポン放送株の取引は活発ではなかった
- 村上被告がフジテレビ株との乖離率を計算して、その指示により機械的に売買して利鞘を稼いでいた
- 毎週月曜昼に行われる会議で、村上被告に「何でこれだけしか買ってないんだ!」と何度か叱責された
- 村上被告は、「取引がある全部の外資系証券会社に電話して買っちゃえよ」と売り手を探すように命じた
- 「トストネットを通じて購入する」と言っていたか分からない
- 実際に電話して、ニッポン放送株をブロックで購入した
- (「供述調書に、『11 月頃』とある」との検察側に対し)帰国直後だった気がする
- 帰国後、断続的に指示された
ニッポン放送株の売買
村上ファンドのニッポン放送株の売買(抜粋)
| 日付 |
証券会社 |
株数 |
取引種類 |
| 平成 16 (2004) 年 10 月 20 日 |
メリルリンチ証券 |
5860 株 |
購入 |
| 24 万 7570 株 |
購入 |
| 平成 16 (2004) 年 11 月 4 日 |
G トレード |
1 万 9280 株 |
購入 |
| メリルリンチ証券 |
5 万株 |
購入 |
| 日興シティグループ証券 |
10 万 2460 株 |
購入 |
| 平成 16 (2004) 年 11 月 5 日 |
G トレード |
2 万 8490 株 |
購入 |
| 平成 16 (2004) 年 11 月 8 日 |
G トレード |
2 万 8390 株 |
購入 |
| 平成 16 (2004) 年 11 月 10 日 |
G トレード |
7 万 9070 株 |
購入 |
| 平成 16 (2004) 年 11 月 11 日 |
クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券 |
1 万 6200 株 |
購入 |
| 日興シティグループ証券 |
1 万 8650 株 |
購入 |
| 平成 16 (2004) 年 11 月 12 日 |
G トレード |
6400 株 |
購入 |
| ゴールドマン・サックス証券 |
1 万 3300 株 |
購入 |
| クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券 |
5 万 9500 株 |
購入 |
| 日興シティグループ証券 |
7 万 4400 株 |
購入 |
| 平成 17 (2005) 年 1 月 5 日 |
立花証券 |
64 万 1850 株 |
購入 |
| メリルリンチ証券 |
16 万 1200 株 |
購入 |
| 平成 17 (2005) 年 1 月 18 日 |
立花証券 |
1 万 3150 株 |
売却 |
| 平成 17 (2005) 年 2 月 8 日 |
? |
328 万株 |
売却 |
- G トレードとは、ブルームバーグの端末経由で、市場に発注できるシステム
- 取得率が 5 % を超えていたので、1 % 以上の変動があると大量保有報告書の変更報告書を 5 営業日以内に提出する必要があった
- 村上被告は、大量保有報告書の変更報告書の提出を気にしていた
- 平成 16 (2004) 年 10 月 20 日の取引
- 5860 株は市場で購入
- 24 万 7570 株はトストネットを通じて購入
- 村上被告か滝沢 建也氏(M & A コンサルティング副社長)か岡田 裕久氏(MAC アセットマネジメント代表取締役)の指示だろう
- 11 月 4 日の取引
- 証券会社の分は、トストネットを通じて購入
- 日興シティグループ証券が、売り手を見付けてきたのだろう
- メリルリンチ証券の分は覚えていない
- 11 月 11 日の取引
- ブロック・トレードだろう
- 各社が、売り手を見付けてきたのだろう
- 11 月 12 日の取引
- 証券会社の分は、ブロック・トレードだろう
- 各社が、売り手を見付けてきたのだろう
- ゴールドマン・サックス証券のイトウ(表記不明)氏に「ニッポン放送ないですか?」と電話で尋ねると、自己売買部門で扱える分を紹介された
- 11 月 12 日から 12 月 16 日までは、数百株しか購入していない
- 村上被告の指示で、最小限しか購入しなかった
- 大量保有報告書の変更報告書の提出時期を窺っていたか、資金不足
- 平成 17 (2005) 年 1 月 5 日の取引
- 取得率が 18.57 % になった
- 村上被告に「大量保有報告書の変更報告書を提出しないで済むように、1 % 以上変動させるな」と指示され、その後は購入を抑えた
- 1 月 18 日の取引
- 1 月 17 日にフジテレビが「5950 円でニッポン放送を TOB する」と発表したので、株価が上昇した
- 村上被告と相談して、6000 円以上であれば売却してもよいことになった
- 「1 % 以上は売却するな」と言われた記憶がある
- 2 月 8 日の取引
- トストネットを通じて 6150 円でライブドアに売却
- 発行済株式数の約 10 %を売却したので、村上ファンドの取得率は 10 % 弱となった
- 村上被告なりの考えがあって 10 % 弱を残したのだろう、と思った
- ライブドアが大量取得を公表して、株価が上昇したときに売却するのだろう
- 上昇しなくても 5950 円で売却できるので、値動きを見てから決められる楽な銘柄だった
村上被告の記者会見
- 平成 18 (2006) 年 6 月 5 日に、村上被告は東京証券取引所で記者会見を行った
- シンガポールの村上ファンドの事務所で見た
- 記者会見自体をしてほしくなかった
- 逮捕前にマスコミに姿を見せる必要はないのに、何で出るんだろう、と思った
- 村上被告は、「ライブドアの動きを基に儲ける気はなかった」と述べた
- 非常識な言い訳が通用するはずはないから、テレビの前でのけぞった
- 証人を含む村上ファンド社員は、「個別のことはペラペラ喋らない方がいい」「また滝沢氏に怒られる」と言っていた
取調べ
- 5 月 31 日以降の取調べのために、前日にシンガポールから帰国して村上ファンドの事務所へ行き、滝沢氏と話をした
- 「取調べでは、MAC アセットマネジメント主導でやっていたことにして、『村上の指示』は NG ワード」「嘘をついても仕方がない」「ある程度は話してもいい」と言われた
- (「供述調書に、『ありのまま喋ればいいが、村上被告の指示とは言わない方がいいかもね、と言われた』とある」との検察側に対し)内容は間違っていない
- 取調べの初日か 2 日目に、石井 賢史氏(M & A コンサルティング取締役)と話をした
- 「『村上被告の指示』と言っちゃいました」と報告すると、「それでいいんじゃないですか」との返事だった
- 取調べ前に、弁護士に助言を受けた
村上被告と村上ファンド
- 証人の友人は、村上ファンドを最初は応援していたが、「ドリームテクノロジーはいかんだろ。仕手筋と変わらない」と怒られることが増えて悲しかった
- 平成 16 (2004) 年秋頃から村上ファンドの規模があまりに大きくなり、村上被告がしんどそうに感じるようになった
- 村上被告は天才だと思うが、ノルマに追われてもがいているように見えた
- M & A コンサルティングの社員や元社員と会うこともある
- 傍聴席にも 2 人いるが、証人尋問について連絡を受けたことはない
- 村上被告とソリが合わない社員は、短期間で退職した
- 証人もムッとすることはあったが、働き続けた
- うるさいのは、全員に対してだった
- 村上被告が「フェア」とよく言うのが好きで、憎めなかった
- 「フェア」は本音だった、と今でも信じている
- 村上被告が被告人席にいるのは残念
- 個人的に株を購入するとき、村上被告に借金をしたこともある
証人尋問
- 平成 19 (2007) 年 2 月 4, 5, 9 日に、入谷 淳検事から証人テストについて携帯電話の留守番電話に連絡があったが、折返さなかった
- 村上被告の弁護側のヒアリングは、昨日を含め 2 回
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