「11 月 8 日には何も始まっていなかった」村上ファンド事件証人・熊谷 史人被告への弁護側反対尋問

「11 月 8 日には何も始まっていなかった」村上ファンド事件証人・熊谷 史人被告への弁護側反対尋問

ニッポン放送の買収

  • MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)発行の第一候補はリーマン・ブラザーズ証券で、第二候補は JP モルガン証券だった
    • リーマン・ブラザーズ証券のデュー・デリジェンスの方が楽だったから
    • 大手 CD 販売店タワーレコードの案件がなくなったことをリーマン・ブラザーズ証券に伝えたのは、平成 17 (2005) 年 1 月上旬
      • (「矢野 雄彦(やの ゆうひこ)氏(リーマン・ブラザーズ証券投資銀行本部元シニア・ヴァイス・プレジデント)の供述調書に、『1 月 7 日に打合せを行い、当面の資金調達は不要と判断した』とある」との弁護側に対し)記憶に合う
  • 1 月 17 日に、フジテレビが「5950 円でニッポン放送を TOB する」と発表した
    • 1 月 18 日からニッポン放送株の出来高が増えたので、大丈夫かも、とやる気になった
      • TOB に応じるには公開買付代理人の大和証券 SMBC に口座を開く必要があり、大口投資家も小口投資家も早く高く売却できる方を選ぶ
      • 村上 世彰被告(M & A コンサルティング前代表)が「5950 円より高ければ売って当然」と言っていたことも、気持ちを切替えた理由の 1 つ
    • 「資金調達」「ニッポン放送株の流動性」が解決された
      • 「資金調達」については、使途が明確になって必要金額が固定でき、株式価値の希薄化の程度も読めるので、一気に進められる
      • 「ニッポン放送株の流動性」については、TOB 価格より高い買い値であれば、相当量の売り注文が予想された
    • 「リーマン・ブラザーズ証券が、敵対的買収をどう判断するか」「ブリッジ・ローンをどうするか」という問題が残った
    • 絶対に買収を成功させようとは思わず、5950 円でフジテレビの TOB に応じても構わなかった
  • 1 月 17 日までは 1000 株単位で購入していたが、1 月 18 日からは 13 万 3350 株/32 万株/68 万株/24 万株と購入した
  • 1 月 18 日に、西麻布の和風料理店「たまさか」で矢野氏・菅間 淳(かんま じゅん)氏(リーマン・ブラザーズ証券社員)と会った
    • 「今後もよろしく」挨拶すると、「これから資金が必要になるかもしれないから、先行してデュー・デリジェンスをやらせてほしい」と言われた
  • 1 月 26 日に、リーマン・ブラザーズ証券と打合せを行った
    • 審査部の担当者に、使途を明かした
      • 1 月 18 日以降も伏せていて、1 月 26 日までに気持ちを整理した
      • 当時、ライブドアは常時 80 社くらい合計約 600 億円の M & A を検討していて、ニッポン放送以外を除いた一覧表を提出したこともあった
      • リーマン・ブラザーズ証券側は、「ニッポン放送買収」と聞いて呆然として言葉を失っていた
      • 「持帰って、桂木 明夫氏(リーマン・ブラザーズ証券代表取締役社長)と話合う」と言われた
    • 1 月 26 日前後に、ブリッジ・ローンの相談もした
      • 前から話していた
  • 1 月 26 日頃に、トランシェの問題も解決した
  • 1 月 28 日に、堀江 貴文被告(ライブドア前社長)被告が MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)を了承した
  • ニッポン放送買収に用いる現預金の資金繰りは、証人を中心に、宮内 亮治被告(ライブドア元取締役)・丹澤 みゆき氏(ライブドア執行役員)・大川氏が行った
    • 平成 16 (2004) 年 11 月〜平成 17 (2005) 年 1 月頃、ライブドアの連結現預金は 400 億円強だった
      • 使用できるのは 100 億円くらいで、残りは運転資金
      • ライブドア証券の自己資本規制比率のために、約 200 億円が必要だった
      • 借入金返済も、一部残っていた
      • (「宮内被告は、『300 億円くらい使えた』と証言した」との弁護側に対し)宮内被告の考えは分からない
    • 1 月 20 日の証人のメールに、「取得率が 3.625 % まで上がりました。資金的にかなりタイト」とある
      • ニッポン放送株の 3.625 % は約 70 億円に相当し、「使用できるのは 100 億円」に合致する
      • ニッポン放送買収には、100 億円以外に最低 500 〜 600 億円が必要、と思っていた
      • 200 〜 300 億円しか準備できなければ、中途半端に購入せずに断念していた
    • ライブドアの M & A 責任者は宮内被告で、中村 長也被告(ライブドアファイナンス前社長)と塩野 誠氏(ライブドア証券取締役副社長)はその部下

インサイダー取引

  • 村上被告が、平成 16 (2004) 年 11 月 8 日からインサイダー取引として起訴されて驚いた
    • フジテレビによる TOB を知っていたから逮捕されるのか、と思っていた
    • ライブドアからのインサイダー取引であれば、早くて平成 17 (2005) 年 1 月 6 日、現実的には 1 月 28 日
    • 法律家ではないが、平成 16 (2004) 年 11 月 8 日の打合せがインサイダー取引なら 3 大証券会社は全てインサイダー取引になるだろう
      • 以前、証人も証券会社に勤務していた
    • 証人が「11 月 8 日からインサイダー取引とすることは、あり得ない」と述べたことが、報道された
      • 堀江被告はやりたがっていたが、11 月 8 日にはライブドア内に現実感がなく、何も始まっていなかった
  • 吉開 多一検事には、17 回くらい会った
  • 村上被告とも村上ファンドとも、利害関係はない
    • 裏切られた感はあるので、好きでもない

財務制限条項(コベナンツ)

  • 平成 17 (2005) 年 2 月 7 日に、リーマン・ブラザーズ証券から財務制限条項(コベナンツ)を解消する条件を付けられた
    • (「宮内被告は、『UFJ 銀行(現・三菱東京 UFJ 銀行)単体からの借入だった』と証言した」との弁護側に対し)あおぞら銀行や東京スター銀行など 10 行くらいのシンジケートだったのではないか
      • 1 行だったら簡単

ニッポン放送株の購入

  • 1 月 11 日に、取締役会を行った
    • 「ニッポン放送株の 4.9 % 以下を取得する」と決議した
  • 1 月 20 日に、堀江被告へメールを送信した
    • 堀江被告からの「取締役会の準備をしましょう。5 % 未満しか購入できませんから」というメールに送信した
      • フジテレビの TOB により、ニッポン放送株の 5 % 以上を取得する可能性が出てきた

村上被告による尋問

  • 1 月 17 日のフジテレビによる TOB まで、ニッポン放送株をどこからどう購入するかライブドア内で議論したが、結論は出なかった
    • 1 月 26, 27, 28 日頃に村上被告に電話で相談したら、「滝沢 建也氏(M & A コンサルティング副社長)にメールさせる」と言われた
      • 滝沢氏から株主の連絡先を紹介された
    • 方法については、弁護士から「トストネットか市場で購入すればよい」という書面を受取って、35 % の購入を決めた
      • 1 月 31 日と 2 月 1, 2 日に村上被告と会ったが、方法を聞いた記憶はない
  • 2 月 7 日に、証人から堀江被告・宮内被告・塩野氏へメールが送信された
    • 「村上ファンドがライブドアに 10 % を売却した後、村上ファンドの残りの 10 % をどうやって購入するか、明日聞きたい」とある
      • 「残りの 10 %」について、2 月 8 日以降に村上被告が「市場で売っちゃうよ」と堀江被告に電話したことは知っている
      • 堀江被告が、「村上被告に聞かれて、『OK』って言っちゃった」と話していた
      • 2 月 10 日の株価が 8800 円なのに、ライブドアは 7000 円を提示していた
  • 村上被告が売却することは想定していたので、やっぱり売却したか、と思った