「堀江被告とはあまり仲良くなかった」村上ファンド事件証人・熊谷 史人被告への検察側主尋問

「堀江被告とはあまり仲良くなかった」村上ファンド事件証人・熊谷 史人被告への検察側主尋問

買収資金調達

  • ニッポン放送の案件で、エクイティ・ファイナンスを担当した
    • 平成 16 (2004) 年 12 月上旬に、命じられた
      • 誰に命じられたか覚えていないが、宮内 亮治被告(ライブドア元取締役)である可能性が高い
      • どのように命じられたか覚えていない
      • 「どのくらいできる?」と聞かれて、「300 億円くらい」と答えた
      • ニッポン放送の案件に限らず、エクイティ・ファイナンスはできるだけ多く、と考えていた
  • MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)を選んだのは、ライブドアに一番合っていたから
    • 証人のブログ「日々の生活」で、「MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)以上の手法はない」と綴ったこともある
    • 4 月中旬に 358 億円の公募増資に成功して、次は MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)を考えた
    • 公募増資の審査に通らないから、MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)にした面もある
    • ライブドアの公募増資後の株価は下がっていたが、と MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)後の株価は上昇が予想された
      • ライブドアのような成長企業が資金調達すると、株価が上昇する可能性が高い
      • 転換時期にもよるが、株価が上昇すれば株式価値は希薄化しない
      • 投資のための MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)であれば、株価は上昇する
      • MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)は転換価格を上げることもできるので、株主のためにも良い
    • 以下の条件で MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)を発行した
      • 割当先 1 社
      • 毎週、転換価格を見直す
      • 転換価格は、上限なしで修正できる
  • リーマン・ブラザーズ証券と JP モルガン証券と日興シティグループ証券に打診した
    • 12 月に、リーマン・ブラザーズ証券と JP モルガン証券に資金調達案を求めた
      • JP モルガン証券に依頼したのは、12 月 10 日
    • 12 月 17 日に、両社の提案書を受取った
      • 発行総額は、リーマン・ブラザーズ証券が 300 〜 500 億円で、JP モルガン証券が 500 億円
    • 12 月 21 日に、JP モルガン証券の再提案書を受取った
      • 発行総額は 500 億円
    • 12 月 21 日に、リーマン・ブラザーズ証券のアマノ(表記不明)氏から証人・塩野 誠氏(ライブドア証券取締役副社長)・落合 紀貴氏(ライブドア執行役員)へ「平成 17 (2005) 年 1 月中旬に、デュー・デリジェンスのインタビューをしたい」とメールが送信された
    • 平成 16 (2004) 年 12 月 24 日に、アマノ氏から証人へメールが送信された
      • 「デュー・デリジェンス資料一覧」が添付され、10 点の資料を求められた
      • 2, 3 人* 2 日くらいで揃う資料で、JP モルガン証券よりも楽だった
      • 塩野氏と落合氏に転送して、「これだとかなり楽だから、これにしましょう」と添えた
      • 塩野氏から証人へ「12 月 28 日(火)17 時にリーマン・ブラザーズ証券との打合せを設定しました」とメールが返信された
      • デュー・デリジェンスの必要資料は発行会社や時期により異なり、平成 17 (2005) 年 2 月 8 日発行分は多くの資料を求められた
    • デュー・デリジェンスでは、以下を調べる
      1. 使途
      2. 調達規模(流動性と希薄化)
      3. 重要事項の有無
      • 2 は、「ライブドア株の 20 〜 30 % を 6 ヵ月で消化」が目安で、計算上は 500 億円を超えないくらいになる
    • 日興シティグループ証券からは、250 億円の公募増資の提案を受けた
  • 平成 16 (2004) 年 12 月下旬に、「500 億円の資金調達の目途がつきそう」と宮内被告に話した
    • 12 月 21 日に、塩野氏から宮内被告・中村 長也被告(ライブドアファイナンス前社長)・証人へ「N 社について必要な資金量」という件名のメールが送信された
      • 「600 億円くらい必要かと思います」がニッポン放送の時価総額の 34 % を示すのは、4 人の共通認識
    • 堀江 貴文被告(ライブドア前社長)には、伝えなかった
      • ニッポン放送について、堀江被告から聞いたことはない
      • 堀江被告は、「MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)は、大株主として反対だ」と嫌がっていたから
      • 宮内被告は、「いずれ納得するよ」と言っていた
      • 堀江被告は「他の方法を考えてくれ」と話しており、正攻法である公募増資を望んでいたのではないか
      • MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)について、「使途が明確なら、株価は上昇する」と説明しても、聞く耳持たなかった
      • 「大株主として」と言われたら、反論できない
      • 堀江被告とはあまり仲が良くなかったので、それ以上は述べなかった
      • 堀江被告と席は離れていても仕事の話はしたが、飲みには行かなかった
      • 副社長でも社長と話すのを嫌がるのは、普通の会社と同じ
      • (「普通、社長と副社長は話すでしょう?」との検察側に対し)普通の社長じゃない
  • 12 月 28 日にリーマン・ブラザーズ証券と打合せを行い、再提案書を提示された
    • 「コミットメント枠条件案」として 500 億円

村上ファンドとの打合せ

  • 12 月 21 日に、塩野氏から証人へメールが送信された
    • 平成 17 (2005) 年 1 月 6 日 13 時の村上ファンドとの打合せの連絡
      • 堀江被告が、設定するように指示した
      • ニッポン放送の今後について相談したかったのだろう
      • (「供述調書に、『500 億円の資金調達の目途が立ったことを宮内被告に報告したので、打合せを行うことになった』とある」との検察側に対し)その可能性もある
  • 1 月 6 日に、村上ファンドとの打合せを行った
    • 初めて村上 世彰被告(M & A コンサルティング前代表)に会った
    • ライブドア側の出席者は、堀江被告・宮内被告・証人・塩野氏
      • 宮内被告が何を言ったか覚えていない
      • 塩野氏は、話さなかったのではないか
    • 村上ファンド側の出席者は、村上被告・丸木 強氏(M & A コンサルティング代表取締役)・滝沢 建也氏(M & A コンサルティング副社長)
      • 喋ったのは、村上被告だけ
    • 堀江被告が「ニッポン放送の TOB……」と切出すと、村上被告は「ちょちょちょ、TOB の話はするな」と遮った
      • インサイダー取引を気にしているのだろう、と思った
      • その後、インサイダー取引に抵触するような話はしなかった
    • 証人が、ニッポン放送株の取得率を説明した
      • 村上被告は「場で購入できる」と話し、大量保有報告書を見せながら「買増した」と言っていた
      • ライブドアが「そんなことできるんですか?」と聞いたかもしれない
    • 以下の話が出たのが 1 月 6 日だったか分からない
      • ニッポン放送の経営権掌握後の資産の切分けで、堀江被告と村上被告はそれぞれ、メディアとサンケイビルを欲しがった
      • 役員を送込む

ニッポン放送の買収

  • ニッポン放送株の大量取得について、平成 16 (2004) 年末には証人に戦略がなかった
    • 平成 17 (2005) 年 1 月 4 日に塩野氏へメールで TOB を提案したが、失敗するだろう、と思っていた
      • 大量保有報告書があるので、3 月下旬に一気にブロックで 1/3 や過半数を取得する
      • 株主は紹介を受ける
    • (「供述調書に、『4.99 % までは急がずに安く取得しながら資金を用意して、一気に買増す』とある」との検察側に対し)選択肢の 1 つ
  • 1 月 5 日に、堀江被告・宮内被告・中村被告・塩野氏へメールを送信した
    • 塩野氏のメールを引用した
      • 敵対的買収について、述べていた
    • 堀江被告のメールを引用した
      • 「第三者割当増資の希薄化の可能性を阻止できる」とあった
    • 「もう 1 つの問題として、スケジュールがあります。2 月 24 日から 3 月 14 日までの間に、TOB の相手を決めなければなりません」「友好的 TOB ができれば一番良い」と書いた
  • 1 月 6 日に、落合氏へ「取締役会」という件名でメールを送信した
    • 臨時取締役会の議案を考えた
      1. 「4.9 % 以下を 3 月 15 日までに取得」
      2. 「5 〜 10 % を 3 月 16 日以降に取得」
      • ニッポン放送株の 5 % を取得するには約 100 億円が必要で、前年の経常利益の 2 倍に相当する
  • 1 月 6 日に、落合氏から取締役全員へメールを送信した
    • 証人の臨時取締役会の議案を添付した
  • 1 月 11 日 9 時に、臨時取締役会を行った
    • 2 を「6990 円以下」とした理由は、なんとなく
      • ニッポン放送の解散価値が 6700 円くらいなので、平均取得株価をそれ以下にすれば、市場で売却しても損失が出ない
      • 1 月 6 日のニッポン放送の株価が 5140 円だった
      • (「1 月 6 日の打合せで、村上被告が『フジテレビが 7000 円で TOB する』と言ったのではないか?」との検察側に対し)聞いた気もするが、定かではない
    • 取得方法は、市場の買付けと市場外のトストネットを通じたブロック・トレード
      • TOB する気は、さらさらなかった
  • 1 月 11 日に、落合氏から証人へメールを送信した
    • 臨時取締役会の議事録が添付されていた
    • 議事録に、「フジテレビのところまで書いていいか分からなかったので、背景については書いていません」とある
      • 「背景」とは、堀江被告が村上被告から聞いてホワイトボードに書いた株主状況のこと
    • 議事録に、「宮内被告が、『過半数取得できなかったら、どうするのか?』と発言した」とある
      • 「過半数」が、ライブドア単独か村上ファンドとの合計か記憶にない
    • 議事録に、「フジテレビによる TOB が 7000 円以上なら、売却する」とある
      • 誰の発言か覚えていない
    • 議事録に、「3 月 15 日までに 5 % 未満」「3 月 16 日以降に 5 〜 10 %」とある
    • 「了解。取締役全員へ送信せよ」と返信した
      • 5 % 以上取得した段階で取締役会を行うことになっていたのを見落としたので、3 月に議事録を再作成した
  • 1 月 11 日に、落合氏・丹澤 みゆき氏(ライブドア執行役員)へメールを送信した
    • 「今日の取締役会で 200 億円までの承認を得ていますので、よろしくお願いします」とある
      • (「『200 億円』は、ニッポン放送株の 10 % に相当する」との検察側に対し)承認されたのは 5 % 未満
  • 1 月 11 日に、堀江被告から宮内被告・証人・塩野氏へ「ニッポン放送」という件名のメールが送信された
    • 「順調に購入していますでしょうか。村上被告からの情報アップデートです。大和証券 SMBC の多くを抑えられます。確実になったら、ライブドアにすぐに TOB してほしいそうです。他の株主もアグリーのようです。全力買いで行きましょう」とある
      • 本当かな、嘘っぽい、と感じた
      • 随分と都合がいい解釈を吹込まれている、と思った
    • 1 月 13 日に、堀江被告へ「出来高の 30 % は拾えていますが限度があるので、ブロックで購入する努力をしています」「村上被告は、村上ファンドのニッポン放送株をいつでもライブドアに売却できます」「10 〜 20 % はブロックで拾えます」とメールを返信した
      • 堀江被告が村上被告に吹込まれているので、警告した
    • 堀江被告から証人へ「ブロックで拾えれば、問題ないです」とメールが返信された
  • 1 月 17 日に、フジテレビが「5950 円でニッポン放送を TOB する」と発表した
  • 1 月 17 日夕か 18 日朝に、村上ファンドと打合せを行った
    • TOB を受けて呼ばれたのか、ライブドアから相談に行ったのか不明
    • 「TOB したい」と言ったか分からないが、20 % 分くらいの外国人株主の紹介を依頼した
    • 村上被告は、「TOB はホッとしたが、価格が安くて怒っている」「ライブドアが 10 % くらい購入するのなら、ファンド・マネージャーだから高い方へ売却する」と言っていた
  • 1 月 18 日に、笹村 正彦氏(ライブドア監査役)へ「村上ファンドや海外投資家が TOB に応じない可能性が出てきた」とメールを送信した
  • 資金調達を 500 億円から 800 億円へ増額した
    • 取締役会で、宮内被告が「村上ファンドが全部を売却する可能性があるから、ライブドア単独で過半数を購入できるようにしよう」と言った
      • 堀江被告は、「そんなことないよ」と答えた
  • 1 月 20 日に、堀江被告から宮内被告・中村被告・証人・塩野氏へ「売買報告」という件名のメールが送信された
    • 「年金は、4.9 % 取得するまでリザーブしておきましょう」とある
      • 村上被告が、「売却したい年金をいつでも紹介する」と言っていた
      • 年金は 90 万株くらいあったが、35 万株くらいしか購入できなかった

ニッポン放送買収以前

  • 平成 16 (2004) 年 8 月中旬から 11 月 2 日まで、中野 正幾氏(ライブドアファイナンス社長)と 2 人でプロ野球参入に忙殺され、会社の仕事は最低限しかしなかった
  • 11 月は、9 月期決算で監査法人の対応に追われた
    • ニッポン放送の案件でエクイティ・ファイナンスを担当することはできたが、声を掛けられたのは 12 月だった