「『是非やらせてほしい』と前向きに返事」村上ファンド事件証人・小谷 彰彦氏への検察側主尋問
証人の経歴
- 野村證券、シティバンク銀行、クレディ・スイス銀行を経てコンフィアンス・サービセス代表
- 所属が変わっても、プライベート・バンキング部門に従事
- クレディ・スイス銀行では、スイス人の同僚と勤務
- コンフィアンス・サービセスは、クレディ・スイス銀行のマーケティングを担当
ライブドアへの融資
- 平成 16 (2004) 年 8 月頃から、ライブドアとの取引が始まった
- プロ野球参入の頃で、伸び盛りの新興企業だった
- 9 月 15 日にライブドアの会議室で、宮内 亮治被告(ライブドア元取締役)・中村 長也被告(ライブドアファイナンス前社長)と打合せを行った
- 宮内被告は、途中から「N 社について」を持って参加した
- 宮内被告が「N 社について」に沿って説明して、「ニッポン放送株の 1/3 を取得したいので、500 〜 600 億円必要」と述べた
- ニッポン放送の当時の時価総額 1771 億円 * 1/3 で、500 〜 600 億円
- 現預金 100 億円も使う
- 宮内被告が、「村上ファンドから持掛けられた」「『N 社について』は、村上ファンドが作成した」「村上ファンドと合わせて過半数」と話した
- 「平成 17 (2005) 年 2 月か 3 月に実行する」と聞いた
- ニッポン放送かフジテレビか分からないが、「役員改選直前に、彼らは動きづらい」とのことだった
- 宮内被告は、「証人に話を持って来たのは、ニッポン放送は邦銀と取引があるだろうから」と告げた
- クレディ・スイス銀行の秘密保持は、徹底している
- 村上ファンドが、ライブドアの資金調達状況を聞いても教えない
- 宮内被告は、「ライブドア内でも、一部の人間しか知らない」と言った
- 情報漏洩による株価上昇を恐れていたのだろう
- 主に、宮内被告が喋った
- 真剣だった
- 「是非やらせてほしい」と前向きに返事した
- 大型融資だったから
- 証人の収益は、あまりに大型融資なのでやってみないと分からない
- 打合せ終了後、徒歩で 2, 3 分の事務所に戻った
- 日下部 治郎氏(クレディ・スイス銀行マネージャー)の出張先であるジュネーブに電話して、2 回目に繋がり概要を伝えてから、「N 社について」を FAX した
- 日下部氏はジャパン・チームのリレーションシップ・マネージャーで、日本で言う営業担当者
- 通話記録から、日時が特定できる
- 20 時 19 分に 1 回目の電話
- 21 時 46 分に 2 回目の電話
- 22 時 8 分に FAX
- 日下部氏は慎重な性格で、融資に対しても慎重
- 日下部氏の上司は、プライベート・バンキング部門のジャパン・チームのヘッドであるローラン・ルップ氏
- 平成 8 (1996) 年 10 月に証人が東京のクレディ・スイス銀行に入社した頃、ルップ氏がジュネーブでジャパン・チームを設立した
- ルップ氏は、証人の上司ではなく同僚だった
- 日下部 治郎氏(クレディ・スイス銀行マネージャー)の出張先であるジュネーブに電話して、2 回目に繋がり概要を伝えてから、「N 社について」を FAX した
- 2, 3 日後、ルップ氏が電話で了承した
- 500 〜 600 億円を前提に、年末から審査することになった
- ライブドアへの融資で、重要なのはルップ氏
- 平成 16 (2004) 年 9 月 22 日頃、ライブドアに 1 枚の資料を持参して説明した
- 担保は、取得するニッポン放送株と堀江 貴文被告(ライブドア前社長)のライブドア株
- ニッポン放送株の掛け目は、一般的に 5 〜 6 割
- ニッポン放送は資産が多く株価も安定しているので、担保にしやすい
- 株価が割安であることも、認識していた
- 5 割とすると、300 億円の担保価値になる
- 「ライブドア株は、担保にならない」と告げた
- オーナーの自社株は、担保にならない
- ライブドアは新興企業で、株価が乱高下する
- ライブドア株を担保にする銀行もある
- クレディ・スイス銀行も、平成 17 (2005) 年にフジテレビから増資を受けた後のライブドア株を担保にした
- 2 月にライブドアがニッポン放送株を買増したときのクレディ・スイス銀行からの 100 億円の融資は、ライブドア株を担保にしていない
- (「堀江 貴文被告(ライブドア前社長)の公判では、『2 月に堀江被告の口座を開設し、ニッポン放送株だけでなくライブドア株も担保にした』と証言した」との検察側に対し)言ったかもしれない
- 関係を良好にするため、1 年間はライブドア株を出入れできなくなるので、担保と言えば担保
- 「クレディ・スイス銀行で可能性があるのは、株式担保ローン」「600 億円の半分以上は自己資金になり、エクイティ・ファイナンスで資金調達するしかないから、クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券を紹介しましょうか?」と話した
- 「融資は 200 億円」と言った、と思う
- 平成 16 (2004) 年 9 月 15 日か 22 日に、コミットメントラインの話もした、と思う
- 近鉄のように途中で終わる可能性があるから、融資枠設定料で収益を得る意図もあった
- 10 月中旬にも話したかもしれないが、記憶にない
- 10 月は、別件で 3 〜 6 回会っている
- 10 月はコミットメントラインの話をしていない、と断言できる
供述調書
- 平成 18 (2006) 年 6 月 18 日に、ドイツでサッカーのワールドカップを観戦した
- 出国前の 6 営業日くらいで、供述調書を作成した
- 検察官は、供述調書を早く作成したがっていた
- 最終日に通話記録を提出するまで、ニッポン放送の案件で最初に会った日を特定できなかった
- 平成 16 (2004) 年 10 月 11 日に、その週の予定を自分宛にメールで送信した
- 本文の 2 行目に「ライブドア社の詰め」とあるが、ニッポン放送以外にも案件があったので、どれのことか分からない
- 供述調書では「ニッポン放送の案件」となっているが、検察官に「そうだよね」と誘導されて、「そうですかね」と応じた
- 検察官に「10 月 11 日頃、ライブドアの融資金額を検討した」と話した記憶はない
- 「10 月 11 日頃、200 億円の融資は可能だ、と思った」「ライブドアの財務内容から 500 億円は無理だが、200 億円の融資と 100 億円の現預金で 300 億円分のニッポン放送株」とは言った
- (「供述調書に、『10 月中旬に、検討結果を宮内被告と中村被告に報告した』とある」との検察側に対し)通話記録により日時を特定する前で、9 月か 10 月か分からなかった頃の供述
- 出国前の 6 営業日くらいで、供述調書を作成した
- 供述調書を作成するとき、「メールが偽造でないことを前提にしてくれ」と述べた
- ライブドア事件の供述調書は、守秘義務により保留したことがある
- 今日は、ライブドアから守秘義務を解除されている
ライブドアへの融資
- 11 月 12 日に、宮内被告と中村被告に会った
- 「プロ野球、残念でしたね」と言うと、中村被告は「できなくてよかったですよ。金食い虫ですからね。ファイナンス部隊はやりたくなかったので、社内で拍手が起きました」と答えた
- 内心そう思っているのならともかく、社外の人間に漏らすとは何て会社だろう、と感じた
- 融資の話もしたと思うが、プロ野球の話しか覚えていない
- 「プロ野球、残念でしたね」と言うと、中村被告は「できなくてよかったですよ。金食い虫ですからね。ファイナンス部隊はやりたくなかったので、社内で拍手が起きました」と答えた
- 11 月 19 日に、新生銀行の藤田氏へメールを送信した
- 11 月上旬に、ルップ氏から「厳しい」とメールを受取り、藤田氏に相談した
- 藤田氏はシティバンク銀行時代の同僚で、直前にモルガン・スタンレー銀行から新生銀行に入社していた
- 「機密保持に関する覚書」の文面を 2 人で検討した
- ライブドアやニッポン放送を「株式会社●●」や「株式会社▲▲」として、社名を出さないようにした
- 12 月 7 日に、宮内被告と中村被告へ「新生銀行は社長が交代で積極的」とメールを送信した
- 12 月中に、新生銀行は駄目になった
- あおぞら銀行にも声を掛けた
- あおぞら銀行の小見寺氏とライブドアに挨拶に行った
- あおぞら銀行は動きが遅く、フジテレビによる TOB で終わりになった
- クレディ・スイス銀行は、ライブドアへ 100 億円のつなぎ融資を実行した
コンフィアンス・サービセス
- 堀江被告の公判で、「ライブドアで顧客になり得るのは、堀江被告だけ」と証言した
- 村上 世彰被告(M & A コンサルティング前代表)も、当時であれば顧客になり得る
- コンフィアンス・サービセスのライブドアからの収入は、答えたくない
- 平成 15 (2003) 年末に、コンフィアンス・サービセスを設立した
- 年収 1000 万円くらいで、借家住まい
- 他のベンチャー企業で取締役をしており、月収 40 万円くらい
- 現在、プライベート・バンキング業務は喪に服している
- 一連の事件でプライベート・バンキング業務は今後厳しいので、今日が卒業式
クレディ・スイス銀行
- クレディ・スイス銀行は、行政処分を期にプライベート・バンキング業務から撤退したので、退職した
- 日下部氏は以前は日本にいたが、現在は香港に転勤になった
- プライベート・バンキングには、オンショアとオフショアがある
- 現在、クレディ・スイス銀行はオフショアだけ
- クレディ・スイス銀行の東京支店に預けたのでは、邦銀と変わらない
- オフショアでないと、意味がない
- クレディ・スイス銀行と暴力団の関連が、報道されている
- ライブドア事件でも、クレディ・スイス銀行の名前が出た
- 「スイスにおけるマネー・ロンダリングや堀江被告の脱税の重要人物が、証人や日下部氏」と報じられて不本意だったが、甘んじて受けるしかない
- 今回も、クレディ・スイス銀行としては良い話ではないだろう
村上ファンド
- 堀江被告が村上ファンドについて取調べを受けたことは、報道で知っている
- インサイダー取引を否定したことは知らない
- 堀江被告が証人として出廷することは知っている
- 村上被告の奥田 洋一弁護士のヒアリングを受けた
- 平成 18 (2006) 年の秋が最初
- 鈴木 俊英氏(M & A コンサルティング社員)は、野村證券時代の同期
- 話したことは 10 年来なかった
- 共通の知人を通して連絡があり、奥田弁護士の事務所へ行った
- 会ったのは、秋と年末と先週と一昨日
- 秋と年末は、鈴木氏が連絡した
- 先週と一昨日は、奥田弁護士と三浦 恵美氏(M & A コンサルティング社員)がメールで連絡した
- 証人の携帯電話へ電話を掛けたのは、奥田弁護士が 1 回と三浦氏が数回
- 証人から電話を掛けたのは、鈴木氏にだけ
- 村上ファンド内の鈴木氏の立場は、よく知らない
