「突飛な発想を排除しないのがライブドアの数少ない長所」村上ファンド事件証人・塩野 誠氏への弁護側反対尋問

「突飛な発想を排除しないのがライブドアの数少ない長所」村上ファンド事件証人・塩野 誠氏への弁護側反対尋問

村上ファンドとの打合せ

  • 平成 16 (2004) 年 11 月 8 日に、村上ファンドと打合せを行った
    • 堀江 貴文被告(ライブドア前社長)が、「年内に TOB」と言った
      • 証人も、年内はともかく TOB を考えていたが、資金が準備できていることを示す必要がある
      • その場合のデッドラインは、3 月末の 1, 2 ヵ月前で、公開買付代理人は証券会社
      • 日系証券会社が、外資系ファンドによる敵対的買収の主幹事を担当したこともある
      • 20 % 取得と TOB は別の話
    • 村上 世彰被告(M & A コンサルティング前代表)が、「17 % 持っているから、ライブドアが 1/3 取得すれば過半数になる。分かっているな」と堀江被告に言った
      • (「資金調達できそうな 300 億円は、1/3 取得に必要な 600 億円の半分しかないが、違和感はなかったのか?」との弁護側に対し)あまり覚えていない
    • 宮内 亮治被告(ライブドア元取締役)が、「引続き資金調達を頑張ります」と言った
      • 「300 億円を固める」と「調達金額を増やす」の両方
      • 村上被告が、300 億円の確度や不足分の見込みを聞いたか覚えていない
    • 10 月 8 日のメールの以前も以後も、打合せまでにニッポン放送株主への打診は行っていない
      • 鹿内家と話をした時期は不明
      • 最初に鹿内家と話をしたのは堀江被告で、同行しなかった
      • 資金調達が確定していなかったから、機関投資家には打診しなかった
      • 宮内被告か熊谷 史人被告(ライブドア元代表取締役)に「まだ機関投資家には打診するな」と言われたので、情報漏洩を心配している、と思った
      • 熊谷被告が信用できるところに声を掛けたかもしれないが、証人は打診していない
    • 打合せまでの買収スキームは、10 月 8 日のメール以外にはない
      • 打合せ以後も資金調達の見込みがなかなか立たず、進展しなかった
      • 11 月下旬か 12 月上旬に、中村 長也被告(ライブドアファイナンス前社長)から「厳しそうだ」と聞いた
      • 中村被告が他の銀行からの資金調達を模索したかもしれないが、聞いていない
    • 「農耕民族と狩猟民族」という表現が使われた
      • ライブドアは事業会社で、被買収会社を育成する農耕民族
      • 村上ファンドは投資会社で、対象会社の株価が上がれば売却する狩猟民族
      • 堀江被告が、「うちは農耕民族ですからね」と言った
      • 「狩猟民族」と言ったのが誰だか分からない
    • クレディ・スイス銀行の名は出ただろう

川原弁護士のヒアリング

  • 平成 18 (2006) 年 8 月 30 日に、ライブドアで村上被告の川原 史郎弁護士のヒアリングを受けた
    • 平成 16 (2004) 年 11 月 8 日の打合せについても述べた
      • 「検察官に『農耕民族と狩猟民族』の話もしたが、供述調書に載らなかった」と述べたか覚えていない
      • (「『資金調達の話は出たが、村上ファンドと親しい場合に調べられるから、個別金融機関名は出していないだろう』と述べた」との弁護側に対し)その可能性もある
      • 「トップどうしの茶飲み話で終わった」と述べたのは、社運が懸かった案件なのに契約書作成に至らなかった、という意味
      • 「供述調書は整理されているが、実際はそんなにシンプルじゃない」と述べたか定かではない
      • 「村上被告はプロキシー・ファイトの話もしたので、宮内被告は真意を図りかねていた」と述べた
      • 「村上被告は、『6 月にプロキシー・ファイトで勝とう。勝ったら農耕民族のライブドアが経営して、狩猟民族の村上ファンドは売る』と言っていた」と述べた
    • 「宮内被告は部下には『良い案を出せ』と言う一方、堀江被告を止めていた」と述べた
      • 宮内被告は、「堀江被告は、村上被告の介入を許しすぎている」とも言っていた
      • 宮内被告が、堀江被告と村上被告の結び付きを警戒していた面は否めない
      • 無謀なやり方を止めていた
      • 上野クリニックのように、宮内被告が堀江被告を止めた例は多数ある
      • 堀江被告や宮内被告の突飛なアイデアも尊重し、言われてもすぐには却下せずに、精査して理由を挙げて反対する
    • 「堀江被告は、可能性が 0.1 % でも 1 % でもあればまず始める性格」と述べた
      • 突飛なアイデアを排除しないのは、ライブドアの数少ない良いところ
      • 堀江被告の口癖は、「0 ではないでしょ」
      • 「堀江被告は宝物を見ると日に日に欲しくなり、子供っぽい」と述べたか覚えていないが、思い込んだら願望に対して一本気な面があり、純粋で子供っぽい
    • 「ライブドアの体質は世間の印象と異なり合議的で、M & A は堀江被告や宮内被告ら役員 4 人で決める」と述べた
      • 堀江被告の独裁会社ではない
      • 堀江被告と宮内被告が GO サインを出せば、必ず実施する
      • 堀江被告が、取締役会を気にしていたか分からない

村上ファンドの先輩と大鹿氏

  • 三浦 恵美氏(M & A コンサルティング社員)は、前職の先輩
    • 「ニッポン放送で絡みそうなので、よろしくお願いします」とメールを送信した
  • 平成 18 (2006) 年 8 月 22 日に、韓国料理屋で 3 人で会った
    • (「ニッポン放送について、15 分くらい話さなかったか?」との弁護側に対し)証人は、ニッポン放送の話をあまりしないようにしていた
    • (「『買収できないと思っていたが、堀江被告の指示で行った』と言わなかったか?」との弁護側に対し)そう言ったとは思わない
    • (「『村上被告を平成 16 (2004) 年 11 月 8 日からインサイダー取引として起訴した検察庁は、日本最大のクリエイター集団』と言わなかったか?」との弁護側に対し)「クリエイター集団」の定義が不明で、質問の趣旨が分からない
    • (「『検察庁はマジックナンバーが好きで、100 億円なら 100 億円という大台が大事』と言わなかったか?」との弁護側に対し)色々な話をしたが、覚えていない
  • 大鹿 靖明氏(朝日新聞社「AERA」記者)の取材に対し、「(11 月 8 日からインサイダー取引として起訴したのは)特捜部が事件を大きく見せようと、欲が出たとしか言いようがないですね」「取締役会での決議がなければ、インサイダー取引にならない」と述べた

ニッポン放送の買収

  • (「『N 社について』を主尋問では『9 月 15 日の数日後に見た』と証言したが、供述調書では『10 月に宮内被告から渡され、11 月 4 日のトリイ ジュンコ(表記不明)氏(M & A コンサルティング元社員)との打合せに持参した』とある」との弁護側に対し)どちらが正しいか分からないが、宮内被告はすぐに資料を渡すことが多い
    • (「平成 18 (2006) 年 6 月 18 日の供述調書に、『受取ったのは表紙の日付の 9 月ではなく、10 月ではないか』とある」との弁護側に対し)時期不明
  • 平成 16 (2004) 年 10 月 5 日に、トリイ氏と打合せを行った
    • 「200 億円のコミットメントラインと 100 億円の現預金」の話をした
      • (「トリイ氏に確認したところ、『200 億円の融資は何とかなりそう、と言われた』と述べた」との弁護側に対し)「合計 300 億円」と言ったと思う
  • 11 月 4 日に、トリイ氏と打合せを行った
    • 「ライブドアのような小さい会社がフジテレビを取るのは、難しいんだよね」と言った
      • 「大きすぎる話なので、ライブドアがフジテレビの子会社になって、フジテレビのインターネット事業を統括してもいい」とも述べた

村上ファンドとの打合せ

  • 11 月 8 日に、村上ファンドと打合せを行った
    • TOB の初歩的質問を 3 回くらいした堀江被告に驚いたトリイ氏が、打合せ終了後に「堀江被告って、あまり分かっていないの?」と聞いた
      • 「申し訳ございません」と答えた
      • (「トリイ氏に確認したところ、『全然分かっていないよ、と答えた』と述べた」との弁護側に対し)覚えていない
    • 11 月 8 日頃、フジテレビの TOB で終わる可能性が高い、と証人は思っていた

村上被告による尋問

  • (「平成 17 (2005) 年 1 月 17 日にフジテレビが『「5950 円でニッポン放送を TOB する』と発表したことにより、ニッポン放送買収は容易になったか?」との村上被告に対し)出来高が増えた
    • 5950 円の TOB 価格が想定よりも低ければ、挑戦すべき
    • 流動性が高まり TOB 価格が固定されていれば、高い値段で指値注文することにより買い集められる
  • 平成 16 (2004) 年 9 月以降、ニッポン放送の案件で証人が行ったのは以下の通り
    1. バリューエーション(企業価値評価)
    2. ストラクチャー
    3. 株主状況調査
    4. CB 発行のドキュメンテーション
    • (「平成 17 (2005) 年 1 月末に村上ファンドに教えを請いに来た証人に対して、村上被告が手取り足取り教える以前に、ストラクチャーを考えたことはあったか?」との村上被告に対し)TOB のスケジューリング
    • 「株主を紹介してくれ」と具体的に頼んだのは、明確には分からないが年明けすぎだろう
      • 打合せの席で、熊谷被告が言った

検察側再主尋問

  • 平成 16 (2004) 年 11 月 8 日にプロキシー・ファイトの話も出たが、ライブドアが取得するのは数 % ではなく 20 % 以上
  • 反対尋問で「突飛な案件」と述べたが、ニッポン放送のことではない
  • 11 月 5 日に、トリイ氏から証人へメールが送信された
    • 「うちとうちと仲良くしている外人から 3 割は取れるイメージ」とある
      • 「取れる」とは、議決権の賛同が得られる、という意味
    • 「その他に取れるところの詳細は、滝沢 建也氏(M & A コンサルティング副社長)が説明します」とある
      • 「取れる」とは、ライブドアが購入できる、という意味
      • 実際に、11 月 8 日の打合せで説明を受けた
      • 平成 17 (2005) 年 1 月に、村上ファンドから紹介された株主と同一だった