「村上被告『TOB する、と言ってくれるな』」村上ファンド事件証人・塩野 誠氏への検察側主尋問
村上ファンドとの打合せ
- 平成 16 (2004) 年 11 月 8 日に、村上ファンドと打合せを行った
- ライブドア側は、ニッポン放送を買収するための資金調達の目途が立ったことを伝えた
- ニッポン放送の時価総額の 20 % に当たる 300 億円
- 20 % は、経営権掌握という最終目標までの通過点
- 300 億円から先の資金調達については、宮内 亮治被告(ライブドア元取締役)が鋭意努力する旨を話した
買収資金調達
- 12 月に、エクイティ(株式)担当の熊谷 史人被告(ライブドア元代表取締役)が参加し、証券会社への打診を開始した
- 熊谷被告は、若いが金融機関との交渉力があり、資金調達能力を堀江 貴文被告(ライブドア前社長)や最高財務責任者 CFO の宮内被告から信頼されていた
- 証人も、証券会社との打合せに何度か出席した
- 担当する M & A の資金調達だから
- 途中参加の熊谷被告を補うため
- 12 月 17 日付のリーマン・ブラザーズ証券からの「転換社債発行提案資料」に見覚えがある
- その前から熊谷被告が交渉していたと思うが、明確な時期は不明
- 発行条件として、「発行総額 300 〜 500 億円」とある
- 秋に、大手 CD 販売店タワーレコードの買収をリーマン・ブラザーズ証券から提案された
- ライブドアにとって、多くの買収案件の 1 つ
- 最優先はニッポン放送であり、転換社債発行はニッポン放送を買収するためのもの
- 12 月 21 日付の JP モルガン証券からの「御社の資金調達について」に見覚えがある
- 転換社債の仮発行条件として、「発行総額 500 億円」とある
- リーマン・ブラザーズ証券や JP モルガン証券に対しては、使途を「買収」とだけ伝え、ニッポン放送の名前は出さなかっただろう
- 有名上場企業だから、情報漏洩による株価上昇を防ぐため
- リーマン・ブラザーズ証券や JP モルガン証券から、資金調達可能との感触を受けた
- ニッポン放送を対象としていることが転換社債発行の障害になる、とは考えなかった
- 対象企業ではなく、ライブドアの信用力が重要だから
- 対象企業とのシナジー効果の有無などの成長の見込みは重要
- 堀江被告は、「ライブドアとニッポン放送・フジテレビの融合が、大きなシナジー効果を生む」と言っていた
- 12 月 21 日に、熊谷被告へメールを送信した
- 平成 17 (2005) 年 1 月 6 日に村上ファンドと打合せを行うことを伝えた
- 資金調達がデット(借金)からエクイティ(株式)へと変わり、リーマン・ブラザーズ証券から 500 億円を調達できる見込みとなったことを熊谷被告から村上ファンドに伝えることが打合せの目的
- リーマン・ブラザーズ証券のアマノ(表記不明)氏から熊谷被告・証人・落合 紀貴氏(ライブドア執行役員)へメールが送信された
- 添付されていた「デュー・デリジェンス資料一覧」を受けて、熊谷被告から証人へ「これだとかなり楽だから、これにしましょう」とメールが送信された
- リーマン・ブラザーズ証券の必要資料が、他社に比べて簡便だった
- 発行条件に差異がなければ、簡便な方を選ぶ
- 平成 16 (2004) 年 12 月 28 日に、リーマン・ブラザーズ証券と打合せを行い、提案書を提示された
- 「コミットメント枠条件案」として 500 億円
- 修正条項が付いたいわゆる MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)だった
- 堀江被告を始めライブドア株主の持合比率が希薄化するので他の手段も精査すべきだが、ニッポン放送買収自体は最優先だった
村上ファンドとの打合せ
- 平成 17 (2005) 年 1 月 6 日に、村上ファンドと打合せを行った
- 13 時から M & A コンサルティングの会議室にて
- ライブドア側の出席者は、堀江被告・宮内被告・熊谷被告・証人
- 村上ファンド側の出席者は、村上 世彰被告(M & A コンサルティング前代表)・丸木 強氏(M & A コンサルティング代表取締役)・滝沢 建也氏(M & A コンサルティング副社長)・トリイ ジュンコ(表記不明)氏(M & A コンサルティング元社員)
- 堀江被告が口火を切り、宮内被告と熊谷被告が資金調達状況を説明した
- 「目途がついている」と伝え、500 億円という具体的金額も挙げた
- リーマン・ブラザーズ証券からの MSCB(転換価格修正条項付新株予約権付社債)であることは、話したか定かではない
- 堀江被告が「TOB で買付けたい」と言うと、村上被告は「ちょっと待て。市場で買ったらどうだ」と応じた
- 宮内被告が「市場で買えるんですか?急騰しませんか?」と聞くと、村上被告は「市場でも買える。方策は考えておく」と答えた
- 村上被告は、「ライブドアから『ニッポン放送を TOB する』と言ってくれるな」と話していた
- TOB の情報を得るとインサイダー取引になるから、と理解した
- 1 月 7 日に、トリイ氏から証人へ「『TOB する』と聞いてはいけない」「『何 % 取得する』と聞くとまずい」とメールが送信され、以下のように感じた
- インサイダー取引を気にしている
- 今後は気を付けよう
- ライブドアによるニッポン放送の経営権掌握を前提とした話も出た
- 資金調達の目途がついたことを伝えるのが打合せの趣旨であり、その目的は果たしただろう
- 会議終了後の 19 時 26 分に、堀江被告・宮内被告・中村 長也被告(ライブドアファイナンス前社長)・熊谷被告へメールを送信した
- 「村上ファンドの姿勢が変わったことについて、情報を受取った」と、トリイ氏からの言葉を記載した
- ライブドアが TOB する方向性だったが、市場で買う話が出たから
- 信頼関係の固い堀江被告と村上被告の間でコンセンサスを取ってほしい、と伝えた
- ニッポン放送の経営権を掌握することは、変わっていない
ニッポン放送の買収
- 1 月 7 日に、トリイ氏から証人へメールが送信された
- ニッポン放送の資産価値評価が添付されていた
- 公表資料からトリイ氏が作成
- ライブドアがニッポン放送を買収することを認識していた
- 1 月 11 日に、堀江被告から宮内被告・証人らへ「村上被告からの情報アップデートです。うちにすぐ TOB してほしいそうです」とメールが送信された
- 堀江被告と村上被告は TOB 実施の方向で話を進めている、と確認した
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